重金属や化学物質の蓄積が今日の病気の多くの主原因になっていることはあまり知られていません。検査も治療方法も日本にないため、ほとんどの医師が学ぶ機会がないからです。この分野も問題は医師より歯科医の先生方が理解している方が多いようですが、十分な知識と経験をお持ちの先生はごく限られているのが現状です。
当院では2016年度から解毒治療を行っています。それまで重金属がメインの難治性の病態(自己免疫疾患や重症の慢性疲労と副腎疲労、栄養で改善しない重度の貧血、動脈硬化に伴う難治性の潰瘍、アルツハイマー型認知症の一部、自閉症、ADHD、重度のアトピー性皮膚炎、精神疾患の一部、多発性硬化症やパーキンソン症候群の一部などの脳の変性疾患、線維筋痛症・・・etc)の治療には栄養療法だけでは限界を感じていました。
日本においての解毒治療は国内に十分な検査機関もなければ、治療もありません(唯一水俣病の主原因である水銀の治療薬はありますが十分な効果は難しいのが現状です)アメリカではワクチンに含まれるアルミニウムや水銀で発症した患者さんや残留農薬での発症の自閉症などには解毒治療は重要な手段となっています。以前、解毒は点滴によるキレーション治療が主でしたが、小児や栄養状態の悪い方(必要なミネラル成分が少ない方)は危険が伴う治療でした。しかしここ2~3年ほどの間(2016~2019年)に安全な経口での解毒治療が急速にアメリカで確立され提供されるようになりました。
この手法の適応になるのは困難な病態の患者さんだけではなく、アメリカでは年齢と共に蓄積される重金属を定期的に除去する人たちも増えています。また祖母や母親の歯にアマルガム(50%水銀の詰め物:ごく最近まで保険適応)があった場合、胎盤を介して4~5倍に濃縮して次の世代に引き継がれます。そのためお子さんの重金属の検査の結果、体内に蓄積していたり、それを除去する力が弱いことがわかれば積極的に安全な解毒治療を選択します。