中野市の形成外科,美容外科,皮膚科,整形外科 たかはしクリニック

ONPブログ
2020.08.06

私はONPとして日々皆さんの血液データを見ながら栄養解析をして、食事のとり方やサプリメントのアドバイスをしていますが、今日は見事に鉄欠乏の女性ばかりでしたので、皆さんに知っていただきたくテーマにしてみました。

 
まずはクリニックに来院された46歳の女性のデータをご覧ください。

フェリチン(貯蔵鉄):3.2
Hb(ヘモグロビン):8.9
MCV(赤血球の大きさ):69.1
Fe(血清鉄):24
UIBC(鉄を運ぶトラック):481

明らかにド貧血のデータですが、ほとんど自覚症状のない方でした。

フェリチンは通常、一般採血では測らない項目なので、あまり知られていません。
健診では、学校・職場・市・人間ドック・妊娠中でさえ測定されないマイナーな項目。

今ではネット上で「フェリチン値を測らないと貧血がわからない」という情報も配信されているようで、この女性も自分のフェリチン値が知りたいと来院されました。
鉄については何度もブログに載せてきましたので詳しい読み取り方は書きませんが、そう単純に数値だけでは判断できないのが面白いところ。他のデータも詠み合わせてひも解いていきます。

とはいえ、この女性はわかりやすい鉄欠乏で、いつ何が起きてもおかしくない状態です。
例えば、「健康のために」とマラソンを始めます。するとこういう方は徐々に心肥大になっていき、走っている最中に突然死してしまうという危険性が生じます。

また、数年後に訪れる更年期障害もひどくなることでしょう。ホットフラッシュやうつ、ひどい肩こりやイライラ等…。ベースに貧血があるとコントロールしにくいことは、前回のブログで書きました。

この方はダイエット目的で走ろうとしていたため、今はウォーキングやストレッチ程度にしておくようお伝えしました。自覚がないとは恐ろしいことです。
いずれも軽いですが、耳なりや動機(突然のドキドキ)・階段での息切れ・夕方からの疲れやすさは、はじまっていたけれどこんなものだと思っていたようです。

「この程度だからいいや」とするのではなく、今後起こりうる不調に対して、しっかり鉄補充を心がけていくようにお伝えしました。

元々、栄養バランスが良いお食事をしっかりなさっていた方なので、ヘム鉄ビタミンB(ヘモグロビン合成に必要)・ビタミンCをサプリメントで毎日摂っていただくことで、より快適な毎日を過ごせるようになることと思います。

 
お次は45歳女性のデータです。

フェリチン:1.7
Hb:9.9
MCV:79.5
Fe:15
UIBC:456

常にイライラし、子どもたちに八つ当たりしてしまうという訴えでした。
そのお子さんも小学生でフェリチンが12と低く、不登校が続いています。

今回はご主人とお話しする機会を得ましたので、女性の体について理解を深めてもらいました。
男の人には決してわかってもらえない鉄欠乏の多彩な症状。
生理前のイライラ・生理中の腹痛や気分ムラ・偏頭痛・うつ症状・泣く・がんこな肩こり・等々…男性の皆さん、彼女や奥さんに当てはまることがあり、ギスギスしていませんか。

性格だからと諦めるのではなく、単に鉄を補充するだけで元のかわいいパートナーにもどることがほとんどだと覚えておくとよいですよ。
女性の皆さんも、たった一つのミネラルを足していくだけで、本当に随分と楽な毎日になっていくことを実感してください。

この方にはお子さんと共にビタミンBのサプリを朝・昼・晩1粒ずつ飲み始めてもらったところ、一週間ほどですぐ心も体もすっと楽になったとおっしゃっていました。
ご主人も、今までは生理時のイライラが半端なく、子どもたちへの怒鳴り方のすごさが今回はなかったことに驚いていました(私も過去に同じことを繰り返していたのでこの状況は簡単に想像がつきました)。

まだまだ先は長いと思いますが、焦らず鉄を少しずつためていきましょう。晴れて鉄女になった頃、幸せいっぱいのご家族になります。
それまでは男の人は大変かもしれませんが、温かく見守っていてください。

 
最後にもうひとり、48歳の女性のデータです。

フェリチン:2.3
Hb:9.7
MCV:71.8
Fe:17
UIBC:368

全身から膿が出ている感じであちこち痛く、「もう自分ではどうしようもないくらい毎日がつらい」と2日連続で来られ、泣きながら訴えていました。

このデータでは、ノルアドレナリンもセロトニンも上手に合成できず、ハッピーな気持ちになれず、すべてがネガティブ思考になってしまいます。
皮膚炎は少しあるけれども、ひどくなく痛みもポイントはありませんでした。でもどうしても訴えは大げさになってしまうのです。

いろいろ説明をし、付き添いの方にも理解していただき、栄養療法がはじまりました。良くなるといいですね。

 
起立性障害といわれ、心療内科で投薬されてしまう中高生女子たちもこの日は数名来られ、やはりフェリチンは一桁台。
でも学校検査ではHbが13〜14あるため貧血にもひっかかりません。いずれもやる気・集中力がなくなり不登校になっています。

このような状況になってる子たちは、男子も含めとても多いことでしょう。決して今回上げた方々は特別な例ではありません。本当に鉄不足の方が多いこと…。
体内の鉄は汗や尿によっても排泄されますので、これから発汗の多い夏真っ盛りになるとさらに鉄は失われやすくなります。
生理のある女性、成長期のお子さんは要注意です。

 
普段みなさんが目にしているHb値がたとえ良値(女子は14以上)だとしても、赤血球の大きさを示すMCV(健診でも測る)が低かったら鉄不足を疑います。
より詳しく知りたい場合はフェリチン値を測定し、正しく解析してくれるクリニックで診てもらうと隠れ貧血が見つかることもありますよ。

 
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ONP オーソモレキュラー・ニュートリション・プロフェショナル  高橋真弓

たかはしクリニック副院長高橋真弓

栄養療法カウンセラー(一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所認定ONP)、保健師、正看護師

 

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