中野市の形成外科,美容外科,皮膚科,整形外科たかはしクリニック

起立性障害の原因は様々です

2019.05.30

北信州では田起こしがされ、田んぼ一面に水が入りました。

そろそろ田植えも一段落します。
私の大好きな風景のひとつに、クリニックのある中野市から隣町の小布施へ行く途中に、見渡す限り田んぼが広がる場所があります。バックには里山も連なり、心にも目にも本当にやさしい所です。
水面や苗が青々風になびく今時期は、夕方からカエルの大合唱がはじまり、窓を開けてのドライブは、心地よいBGM（？）になります。
いや大、大、大合唱のため、心地よくはないか…。
でも、このカエル君たちの声を聞くと、「ああ一年無事に過ごせ、またこの季節を迎える事ができたな」と、小さな幸せを感じます。

そんな小さな幸せも感じていないかな…。
最近、朝起きられず不登校の子どもたちが増えてきています。
他院で起立性障害と診断され、めまいや頭痛もあるのでCTやMRIまで撮って、異常なしと言われ血圧薬や睡眠薬、抗うつ剤まで処方されることもあります。3〜4軒病院に行っても治らず、皆さん困りはてて当院に来てくれることが多いです。
いや困っているのは大概お母さんやお父さんだけのような気もしますが…。

受診されたいろいろなタイプの親子像をみさせてもらっていますが、「あーこの子なら大丈夫」という子は、親（特に母子関係は重要）と同じ空気感というのでしょうか、エネルギーを感じます。親と子がべったり依存しているわけでもなく、つき離して放任しているわけでもなく、心配でしょうがなく一方的な重い愛情表現になっているわけでもなく、互いに一個人として認め、助け合っている雰囲気の親子です。
そう、お母さんもお父さんも忙しく、”いっぱいいっぱい”ということ。そこに子どもたちが気付き、支えあっている親子は大丈夫です。
逆に「ちょっと難しいな」と思ってしまう親子は、連れてきた親が全く無関心でそっぽをむいてスマホをいじりはじめたり、子どもに質問しているのに全て親が答えてしまっていたり、「うるせーんだよ、触るな！」と憎悪の目で親をにらんでいる等、家族としてのエネルギーがバラバラになっている時です。
こういう方々は栄養を補充しても、生活習慣を正しても、ビクともしません。元々自分に無関心な印象も受けます。

つい最近こられた10代の女性は、小学生の頃両親が離婚したそうです。そのうち学校でもイヤな事が重なり、朝起きれなく不登校に。でも何とか中学・通信制高校は卒業し、しばらくは順調でした。しかし、フラッシュバックが起こるようになり、不安にかられ外に出られなくなってしまいました。
アイコンタクトもとれ、しっかり前を向いて自分の意見を話してくれる姿に、一見何のトラブルもみえません。一緒に来たお母さんとの関係も悪くなさそう。いろいろな話を聞かせてもらいましたが、血液検査や他の治療もあまり必要性を感じないので無理に進めませんでした（結局、保険内採血はしました）。その後、1ヶ月後に来てくれた時には、とても晴れ晴れとした顔をしていたので、聞いてみたところ、「ここで話を全部聞いてもらえて、今の自分を認めてくれたことがうれしく、その夜から不安を感じなくなりました。今は友達と外へ遊びに行ってても楽しいし、人ごみでも息苦しくありません。前向きになってきています。」と話してくれました。1年以上も引きこもっていた方だったので、一歩踏み出すことができ、ほんとうに良かったです。逸れていたエネルギーがスッと真っ直ぐに通ったようです。

クリニックに来たことは単なるきっかけにすぎず、この方は自分自身で整理することができたのでしょう。過去の自分に向き合い、その時の自分を認め「それでいいんだよ、よくやってる！」と褒める作業はとても大事です。そして、いつも鏡を見て「今日もかわいい、うん大丈夫！」とおまじないをかけてください。と言ったことが、ちゃんと伝わったようです。

栄養学的にみていくと、不登校や朝起きられない背景には、低コレステロールや重度の鉄・ビタミンB不足があります。実際測っていくと、総コレステロールが150をきる方ばかりです。これではホルモンも上手に作ることができず、ベースが整いません。鉄やビタミンB不足からも、いつも疲れていて何事にも無関心、やる気も起きないでしょう。逆にイライラしてキレやすくもなります。セロトニンやメラトニンがつくれず、幸せと穏やかに思える気もちすらでてきません。質のよい睡眠も得られないでしょう。まずはコレステロールを180以上に上げていくように。鉄やビタミンBも含まれるタンパク質を中心に食べ、摂取カロリーを確保してください。もちろん、ジュース・アイス・菓子も控え、低血糖にならないことも大切です。

起立性障害の原因はいろいろです。目に見えるもの、見えないもの、両方とも整えていけるといいですね。

副院長　高橋真弓

たかはしクリニック副院長高橋真弓

栄養療法カウンセラー（一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所認定ONP）、保健師、正看護師

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