中野市の形成外科,美容外科,皮膚科,整形外科 たかはしクリニック

院長ブログ
2017.12.20

アトピー性皮膚炎と診断されて赤ちゃんの頃から肌荒れが治らないと受診される方がとても多いのですが、全身の皮膚のバリア機能が壊れている患者さんは必ずその原因を考えない限り治癒しません。
当院でも開業以来数人は治療に手こずる患者さんもいましたが、大抵は治癒にいたっています。
そもそも皮膚科医も患者さんも完全にきれいな肌になる可能性はあまりないと思っているのではないでしょうか?
それはなぜか?
まず、アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版から考えてみましょう。

定義

アトピー性皮膚炎は,増悪・寛解を繰り返す,瘙痒 のある湿疹を主病変とする疾患であり,患者の多くは アトピー素因を持つ。

アトピー素因とは

①家族歴・ 既往歴(気管支喘息,アレルギー性鼻炎・結膜炎,アトピー性皮膚炎のうちいずれか,あるいは複数の疾患) があること,または
②IgE抗体を産生しやすい素因をさす。

病態

アトピー性皮膚炎の病態は,皮膚バリア,アレルギー 炎症,瘙痒の3つの観点から考える。

ようするに、なかなか治らなくて、他にもアレルギーが何かしらある肌荒れで、痒みもある疾患で、実にざっくりとした定義と病態なわけです。(IgE抗体は感作するとすぐに症状のでる即時性アレルギーのことです。)

治療

1.治療の目標

治療の目標は,症状がないか,あっても軽微で,日常生活に支障がなく,薬物療法もあまり必要としない状態に到達しその状態を維持することである。また, このレベルに到達しない場合でも,症状が軽微ないし 軽度で,日常生活に支障をきたすような急な悪化がおこらない状態を維持することを目標とする。

2.治療方法

アトピー性皮膚炎の治療方法は,その病態に基づいて,
①薬物療法
②皮膚の生理学的異常に対する外用 療法・スキンケア
③悪化因子の検索と対策の3点

対処療法は①②です。根本治療は③のはずですが、残念ながら実際には原因因子の検索はなく増悪因子のとおり一辺の指導のみとなります。
保険診療には原因検索の手段がないため、医師も苦労しているのが実情です。
またこれに対する治療も・抗アレルギー薬とステロイド・非ステロイド系の抗炎症薬と保湿剤(ワセリン、ヒルロイド)だけとアトピー性皮膚炎と戦うにはとても心もとない武器のため、スキンケアなどは自分にあった市販の保湿剤を探し、抗炎症効果のある民間療法に頼るわけです。

当院での治療方針です。(2017年度の段階)

まず局所の炎症症例(首・肘内側・手首・手背・膝うら・臀部・腰部)などで、繰り返す皮膚炎はほぼ栄養の問題による「摩擦の影響の皮膚炎」で主に「足し算」の治療です。
そして、全身に炎症のある症例は何か・解毒できないものを肌から捨てようとしている可能性はないか?
遅延型アレルギーは関与しているのか?
重金属の関与はしていないか?
腸内細菌叢の問題は?
口腔内の感染の関与は?
なども視野に入れる「引き算」と栄養を考えてゆく「足し算」の双方の治療を行う必要性があると考えています。

栄養療法(検査:採血・髪の毛・尿・便などから検索します)、細かな問診も重要です。

①栄養の不足      
→ 食事指導・栄養補充
②自律神経の調節    
→ 食事指導・生活指導・低血糖症治療
③ホルモンの影響    
→ 食事指導・栄養補充
④遅延型アレルギー   
→ 除去食・消化管アプローチ(小腸の炎症の影響)
⑤炎症性サイトカイン調節 
→ 食事指導(油の種類EPA/AA)・栄養補充
⑥重金属の影響     
→ 原因物質の除去・解毒治療・食事指導・栄養補充
 
※消化管アプローチはリーキーガット症候群、SIBO、腸カンジタの治療を含みます。
 
⑦ストレス治療      
→ 副腎疲労と脳内刺激伝達物質の調節
⑧口腔内ケア       
→ 口腔内細菌や歯根部の感染が主原因のこともあります。
 
※当院では以上を検討し、これらに漢方治療を加えて治療をすすめてゆきます。
※プラセンタの単独注射投与でもある程度は改善する症例もあります。

あきらめずにご相談ください。

たかはしクリニック院長高橋嗣明

形成外科の専門医。たかはしクリニック開設以来、形成外科の治療だけでなくオーソモレキュラー療法をはじめとする多様な治療を実践し、多くの慢性の難治疾患の治療にあたっています。北里大学医学部・北里大学大学院卒業、東京大学客員研究員・博士号取得。

 

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■ 診療科目
形成外科・整形外科・皮膚科・美容皮膚科・美容外科
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