最近このタイトルまたは「アトピーサプリ」で検索される方が増えているそうです。
クリニックでは1日30人の肌荒れ患者さんを診ていますので、
開業以来8年間で累計60000人ほど診てきたことになります。新患としては5000人ぐらいでしょうか。
治療目標は皮膚科に二度とかからないことを目標に取り組んでいますが、
現時点での経験で言えることは「アトピーサプリ」などのように「これを飲めば多くの方に効果が期待できる」という都合の良いサプリなどは存在しないということです。
多くのこの手のサプリメントは乳酸菌を扱ったサプリメントです。
腸内環境を整えることはとても大切なことですが、少なくともクリニックを受診される患者さんの使用体験談を聞く限りと本質的な病態から考えると多くの???がついてしまいます。
ただしステロイド剤だけで治療している医療よりかは改善例もまったくないわけではないと思われるので否定はしません。
繰り返される肌荒れは
①便通の改善(腸内フローラの改善)
②複数の原因を取り除くこと
③治りやすい栄養状態になること
④漢方やエネルギー治療における気の改善
などが大切です。
「アトピーサプリ」では①の一部しか改善できません。
まず自宅でできる大切なこと
基本的に患者さんの努力がなければ治りません
1.便秘・軟便の改善
①便秘対策
まずは水分と食物繊維を多く摂る。腸が動く運動やマッサージ。にがりの利用。乳製品での便秘改善の多くは誤りです。
※自分にあった漢方は体質改善には便利です。
②軟便対策
遅延型アレルギーなどでの軟便となる食材の停止。個々に合った自律神経の改善対策。
上部消化管では自分にあった乳酸菌摂取、下部消化管ではビフィズス菌摂取
2.生活習慣の適切な見直し
①規則正しい生活習慣(自律神経を整えて交感神経を休める工夫をする)
②化学物質の排除(シャンプー・石鹸・洗剤・化粧品・消臭剤など全てを見直し)
③加工品禁止(添加物・防腐剤・トランス脂肪酸=マーガリンなど)
④EPAリッチな油の取り方(養殖でない小型の魚を多く、肉の油やサラダ油を減らす。)
⑤成長に不足する栄養素をイメージして積極的に摂取(鉄・亜鉛・タンパクなど)
⑥免疫に関係するビタミンD3増やす(天然の鮭など。日光浴だけでは実は難しい)
3.肌の摩擦行為を防ぐ
①肌のかき壊しがあると何をしても治りません(安全な保湿剤の利用)
②直接爪で掻かないように衣類の素材に注意して覆う
4.その他
①飲む水・肌に触れる水を安全なものに変える。
当院での現在の治療方針です。(2020年度9月)
1.栄養の足し算だけで改善できる可能性が高い肌荒れ(特にこども)
1)からだの一部:摩擦の影響による皮膚炎(掻かないことの工夫は基本)
局所の炎症症例(首・肘内側・手首・手背・膝うら・臀部・腰部)などで、繰り返す皮膚炎
※必要な栄養素の多くは皮膚のコラーゲン生成に必要な①鉄・②ビタミンC・③タンパク質の3要素のうちで鉄の不足が経験上多いようです。
またビタミンB群不足でのタンパク質の利用効率が低下した方も多いです。
ヘモグロビンが14以上あっても潜在性の鉄欠乏は存在することを理解している医師はとても少ないので自分で学びましょう。
※ただし遅延型アレルギーも混在していることもあります。
2)炎症の目立たない乾燥肌
高齢者は1)の栄養素の不足が多いですが、全年齢では亜鉛不足とビタミンA不足をみつけます。
子どもでは稀ですが、カカトやひじなどの角質の肥厚・ひび割れのある方、虫刺されのあとが残りやすい方などは不足している可能性が高いです。
2.根本的な原因治療が必要な皮膚炎
1)腸の炎症改善が必要な皮膚炎 腸内細菌の環境改善と免疫改善(最も多い)
【検査・診察】
①詳しい消化管の問診表での判断(腸カンジタ・SIBOの可能性の有無など)
②舌証・腹証などの漢方所見
③肌・爪・カカトなどの肌情報の把握
④オーソモレキュラー療法としての採血(生化学的な全ての情報)
⑤遅延型アレルギー:リーキーガット症候群につながるためほとんどの方に必要だと考えています。
⑥必要に応じて重金属検査(血液・髪・尿から行うトリマーキュリー検査)
【治療】
①利用できる漢方を含めた医薬品薬の選択
②メタジェニック社の医療用消化管アプローチのサプリメント各種(当院での実績からも優秀です)
③腸内洗浄(8月から開始しましたが、海外での実績からも現在一押しです。)
④皮膚粘膜改善を目的とした栄養サプリメントは補助に用います。
⑤自律神経の改善はとても大切なのでその方に合った手法を選択します。
⑥解毒治療(デトックス)・・・腸内洗浄はこれも含みます。
※細胞内に入り込んだ重金属の解毒は必要な方だけクイックシルバー社のサプリメントを用います。
⑦抗酸化・炎症性のサイトカインを抑える方法(対症療法としては保険外用薬にもあります)
プラセンタ・初乳MAF・アトミックカーボンなどの利用
2)口腔内、副鼻腔内、上咽頭などの炎症改善が必要な皮膚炎
①歯科領域はこれらの知識と解毒治療にも精通した歯科医との連携を行う。
②上咽頭炎はこの治療に卓越した耳鼻科医との連携を行う
※上記で改善なければ解毒治療や粘膜の栄養治療なども併用する。
「もうあきらめていた」と患者さんからよく耳にします。ヒトは生きている以上、肌は再生され続けます。
是非本来の肌を取り戻してください。
以前に書いた記事(2017年12月の記事)もご参考ください。
たかはしクリニック院長高橋嗣明
形成外科の専門医。たかはしクリニック開設以来、形成外科の治療だけでなくオーソモレキュラー療法をはじめとする多様な治療を実践し、多くの慢性の難治疾患の治療にあたっています。北里大学医学部・北里大学大学院卒業、東京大学客員研究員・博士号取得。