中野市の形成外科,美容外科,皮膚科,整形外科 たかはしクリニック

院長ブログ
2016.07.26

疲労感はかなり多くの方が、小児から高齢者まで訴える症状です。原因は様々で、「隠れ貧血」や「ビタミンB群の不足」による疲労、これは女性や成長期のこどもたちに多く見られます。妊娠や出産後にも多く発生します。
また、中高年の男性には亜鉛不足でのテストステロン(男性ホルモン)の活性が低下しても疲労として感じます。女性では潜在性甲状腺機能低下症にともなう疲労感はかなりの頻度で存在します。消化管のトラブルを慢性的に持っている場合の疲労感を持っている方も多くいます。
当院では疲労の原因がどこにあるのか?検査と治療の優先順位は?を問診と検査データで判断し、回復へとアプローチさせてゆきます。この際、これらの原因の多くに「副腎疲労症候群」が絡んできます。
 

「副腎疲労症候群」を簡単に説明すると、腎臓の上にチョコンと乗っている“副腎”という臓器が「もう働くことが限界なんです!」となって、機能低下が回復できない状態を言います。
この“副腎”はストレスに対処する臓器と知られ、長期的なストレスと短期的なストレスに対して異なるホルモンをそれぞれ数種類分泌して対応しています。これにより身体の恒常性を保とうとしているわけです。
この“副腎”からのホルモン分泌が正常に対応できなくなったときに疲労感を感じるわけですが、この時の症状は“うつ病”の診断基準を満たすことが多いため、時に誤って精神科の薬が始まる例をよく見ます。
 

「副腎疲労症候群」の比較的多くに、炭水化物(糖質)が好き、カフェインが手放せない、比較的まじめで頑張り屋の方が多い傾向があります。これには理由があります。食後の高血糖に対して過剰なインスリン分泌で反応性に低血糖になった時に、”副腎“がこの低血糖を危機的状況と捉えアドレナリンから始まり、コルチゾールなど各種ホルモンを分泌して血糖を上げようと対応します。
よって「炭水化物好き」は副腎疲労の原因であり、食事で急激に血糖をあげようとする対応だともいえます。また、「カフェイン好き」は”副腎“から分泌されるアドレナリンの代わりとも考えられます。興味深いことに、治療後は炭水化物やカフェインに対する欲求がなくなります。
 

この臓器の疲労具合はDHEA-s、唾液コルチゾール検査などいくつかあります。治療に大切なことは、第1に「いかに生活環境上“副腎”に負担をかけないように過ごせるか!」を徹底することであり、第2に「“副腎”に必要な栄養を与える」ことです。“副腎”はビタミンCに最も依存している臓器ですから、高濃度ビタミンC点滴が著効する例もあります。治療上はこれに加えて、「脳がストレスを感じにくくするために、脳内の神経伝達物質の調節をビタミン、ミネラルで行うことの重要性」を感じます。また「マグネシウム不足」は症状の軽い方でもありますので、補正が必要です。これで多くの「副腎疲労症候群」は改善します。
 

しかし、改善しない頑固な「副腎疲労症候群」も存在します。この根本原因には「細胞内のマグネシウムが維持しにくく、常に不足している」(血液検査では分かりません、毛髪ミネラル検査やマグネシウム点滴で反応があるか?で判断します)の存在。また「消化管のカンジタ感染」の有無を調べて治療する必要性のある方、そして根本原因に前回ブログで触れた歯科金属(水銀がメインですが他の金属でも起こります)の影響があげられます。最近これが最も重要だと思っています。お子さんも母親に歯科金属があれば関係します。
 

まとめ、「副腎疲労症候群」は“副腎”が分泌するホルモンに着目するだけでなく、「他の臓器からのホルモンの関与」・「脳」・「消化管」・「歯科金属の影響」の関係は最低でも説明でき、検査・治療が行える近隣の医師を見つけて下さい。
 

「朝起きれず、学校に行けなくなった。」
「仕事にいけなくなった。」
「なにもやる気がしない。」
「ストレスに対応できない。」
「疲労感とイライラが続く。」
「日常生活を送ることも大変なほど疲れを感じる。」
 

など訴えは様々ですが、精神科にかかる前にこの「副腎疲労症候群」という病態があることに気付いてください。「本当につらい時」は病院に行くことも困難ですが、身近の方に相談し、なんとかたどり着いていただきたいと願っております。

たかはしクリニック院長高橋嗣明

形成外科の専門医。たかはしクリニック開設以来、形成外科の治療だけでなくオーソモレキュラー療法をはじめとする多様な治療を実践し、多くの慢性の難治疾患の治療にあたっています。北里大学医学部・北里大学大学院卒業、東京大学客員研究員・博士号取得。

 

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