中野市の形成外科,美容外科,皮膚科,整形外科たかはしクリニック

血液検査における基準値の話

2016.05.16

血液検査をすると「基準値」が記載されており、それより多いか少ないかで問題があるかどうかを評価されています。

私が医者になりたての頃は「基準値」ではなく「正常値」と記載されていました。変更された理由は必ずしも“この範囲に入っていれば正常なわけではない”からです。
よって“明らかな問題がなさそうな範囲はこのくらい？”程度の値を示している「基準値」にしたわけです。
また医者が別の病院で勤務するとこの基準値が微妙に違っていることに気が付くことがあります。この理由は「基準値」は各検査機関の従業員の明らかな病気でない人を対象に作成されるためだからです。

検査機関によっては数十人規模で作られます。
当然この「基準値」には“未病”（病名が付けられる少し手前の状態）は含まれています。つまり真に健康な人の数値はどの範囲であるのかを知っていなければ、“未病”を見逃すことになります。健康診断で「基準値」以内だから大丈夫！では様々な病気へと移行する病態を見逃してしまう理由がここにあるわけです。

真に健康な人の検査データはとても狭い範囲に収まります。
年齢・性別関係なく決まった数値もあれば、各年代の成長やホルモン活性の移り変わりを正確に評価しながら読み解かなければならない数値もあります。
血液の生化学検査では採取した血液を遠心分離機にかけて血清成分と血球成分に分けるのですが、細胞膜の弱い人は血球成分が血清に混ざるため“つじつまの合わない検査結果”＝“本来少ない値のはずが高く出ること”があります。そのような場合はこの細胞膜障害を改善させてから再評価しなければなりません。

また食生活、健康食品の摂取、医薬品内服における影響すべてを正確に関連づけることも必要です。
しかも人の体の仕組みの研究結果は日々あらたな事実が更新されています。
全世界の研究結果に目を通すことはできませんが、少しでも情報を得てさらに血液データを深読みできるように前進して行きたいと思っています。

たかはしクリニック院長高橋嗣明

形成外科の専門医。たかはしクリニック開設以来、形成外科の治療だけでなくオーソモレキュラー療法をはじめとする多様な治療を実践し、多くの慢性の難治疾患の治療にあたっています。北里大学医学部・北里大学大学院卒業、東京大学客員研究員・博士号取得。

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